お子さんはどのくらい本を読みますか?
「読書をしてほしいけど、習いごとで忙しい」
「家ではゲームで遊ぶことが多くて、本に興味はないみたい」
そんなご家庭も多いのではないでしょうか?
「そもそも今の時代、GoogleやYouTubeで知りたい情報はすぐ手に入るし、わざわざ時間をかけて読書をすること自体に価値があるの?」
と思う方もいるかもしれません。
結論、読者は子どもにとって非常に有益です。
この記事では
- なぜ読書が子どもにとって大切なのか
- どうしたら子どもが日常的に本を読むようになるか
を解説していきます。
我が家の息子(小学3年生)は漫画も含めると年間200〜300冊の本を読みます。
もちろん英才教育をしたわけではありません。
勉強を教えない方針の幼稚園に通っていたので、小学1年生の冬まで、ひとりでは本を読めませんでした。
しかし、好きな本を一冊見つけた後の成長はめざましく、今や図書館で20冊程の本を借りてくるのが私たちの日常となっています。
息子に効果的だった方法もあわせて紹介しますので、参考にしてみてください。
子どもが読書するメリット
子どもが、読書によって得ることはたくさんあります。
中でも以下の2点が大きなポイントです。
- 学力の向上
読書をすることで、学力が上がることが期待されます。
これは言語を理解する読解力が上がるからです。
本を読むと、言語を受け入れるために働く脳の部位(左側頭葉)が活性化します。
この活性化は本を読んでいる瞬間だけにおこるのではありません。
筋トレをイメージしてください。日々トレーニングすると、いつでも使える頑強な筋肉が手に入りますよね。
読書も同じで、日常的に本を読むことにより、言語を理解する力が身につくのです。
言語の理解はすべての学習の土台となる部分です。
国語以外の科目においても、言語を通して学ぶのですから、言語理解がよくできれば、自然と学びが深まるのも納得ですよね。
実際に、進学塾では上位クラスの生徒ほど、読書量が多い傾向もあるようです。
- 社会性の向上
読書によって、脳が活性化し、言語理解力が高まります。
会話の際も、相手の話すことが理解できればできるほど、深いコミュニケーションが取れるようになりますよね。
さらに読書で活性化する脳の部位は、言語理解だけではなく、言語を使って表現する部分にも及ぶそうです。
つまり本をよく読む人は、言葉で伝える能力も鍛えられるので、言いたいことを的確に伝えることができるようになります。
また、物語を読んで、登場人物の感情を共有したり、想像することは、実生活で他者の気持ちを考えることにもつながるでしょう。
相手の立場を思いやったコミュニケーションが取れることは、社会生活を円満に過ごす助けになるはずです。
この他にも、
- ストレス解消
- 集中力アップ
- 語彙力、知識が増える
など、たくさんのメリットが読書にはあります。
いきなり読ませてはダメ!本を読みたくなるきっかけをつくろう
では、どうしたら子どもが本を読むようになるのでしょうか?
初対面の人に、「はじめまして。今から一緒に旅行しましょう」と誘われて受け入れる人はほぼいませんよね?
読書も、いきなり「今日から毎日本を読もう!」と言われても楽しみな気持ちにはなれません。
それどころか「読書=やらされるもの」というイメージがつく恐れすらあります。
実際に本を読む習慣が身につくようになる前に、本を読みたくなるきっかけが必要です。
まずは子供が「本」の存在に慣れて、本を好きになってもらうことから始めましょう。
<子どもの読書きっかけ 1> 親の読みきかせで本に親しむ
読みきかせは0歳から、子どもが楽しめるうちは何歳まででもできます。
一石三鳥とメリットがたくさんあるのが、読みきかせのすごいところ。
- 楽しい
- 言語の発達を助ける
- 情緒が安定する
言語学習の面で効果的なのはもちろんですが、何よりも、
大好きなお母さんやお父さんの声で語られるストーリーは、子どもの情緒を安定させます。
「本を読む」ことと「心地よい」という感覚が子どもの中で結びつくことで、本好きになる最高のきっかけになるでしょう。
<子どもの読書きっかけ 2> 好きなものに関係する本を子どもに選ばせる
もし、子どもが自分から読んでみたくなるような、お気に入りの一冊が家にない場合は、新しい本を探しましょう。
子どもが今一番好きなことに関係するものがいいでしょう。
車が好き → 車の図鑑
動物が好き → 動物がたくさん出てくるおはなし
ゲームが好き → ゲームの攻略本
アニメが好き → 好きなアニメのマンガ本
上記のように、種類は問わず、本の形をしていて、字も書いてあれば大丈夫です。
目的はあくまで「本を読むのは楽しい」という体験をすることです。
本屋さんに行って、子ども自身に選ばせてあげてください。
本を読むモチベーションをグッと引き上げてくれるでしょう。
私たち親世代にとって、初めて買ったCDって特別でしたよね?
同じように、子どもが初めて自分で選んだ本も、思い入れを感じて読むのが楽しみになるはずです。
誰でもできる!子どもの読書習慣が身につくための方法
「本を好きになる」「読んでみたい本を見つける」という下準備ができたら、いよいよ読書を習慣づける段階です。
本を読むモチベーションを保つためのコツを5つ紹介します。
定期的に図書館に行く
できれば月に1回以上は、親子で図書館に行ってみてください。
図書館の魅力はなんといってもその蔵書数の多さです。
昔の名作から最新の話題作まで広くそろっています。
いくつかジャンルの違う本を選んでみて、子どもの好みを探ってみてください。
すでに読める年齢だったら、基本は子ども自身が選ぶのがよいですが、
親も一緒に読みたい本、読んでほしい本があるか探してみるといいでしょう。
読書タイムを決めて家族で読む
あなた自身は読書をしますか?
子どもに本をたくさん読んでほしかったら、
親が子どもに本を読む姿を見せることがとても重要です。
誰も読書をしない家庭で育った子どもの多くは、読書の習慣をもちません。
かく言う私自身も、そのうちの一人です。
子供の頃、両親が本を読んでいる姿を見たことがなかった私の読書経験は、30歳を過ぎるまで1年に1冊読むかどうか程度のものでした。
だからこそ、小さなお子さんをもつお父さん、お母さんにはぜひ、お子さんに本を読む姿を見せてあげてほしいと強く思います。
読書タイムは短かくてもかまいません。例えば、
毎日夜7時から15分間
毎週土曜日の朝30分間
など、家族ごとに可能なペースで予定を決めましょう。
大事なのは時間を長く取ることではなく、継続して習慣化することです。
集中しやすいようにテレビなど、音の出るものは切りましょう。
また、イライラしやすい空腹時、眠くなりやすい満腹時を避けるのがいいと思います。
読んでほしい本は間接的にオススメする
いろいろな本に出会ううちに、お子さんにぜひ読んでもらいたい本も見つかりますよね。
小さなうちは、すすめるだけで素直に受け入れてくれると思いますが、年齢が上がると簡単ではありません。
我が家では、「これ息子が絶対好きそう」「これは読んでもらいたい」という本を見つけたら、次のように間接的にアピールしています。
- 親自身が子どもの前でオススメ本を読む
子どもはおとなをよく観察しているものです。親が興味深そうに読んでいると、「そんなにおもしろいのかな」と興味を持ちます。
- 子どもの前で、その本の魅力を他の人に話す
子どもの前でママ友などに、オススメ本のおもしろいところを話します。
夫婦間でもいいでしょう。直接読むように言われると、やらされる感がでて反発したくなりますが、間接的に聞くと、余計な感情が混ざらず、本の魅力だけが伝わります。
注意点はわざとらしくならないこと。
もし親自身も本当に興味をもって読めない本なら、子どもにもそのおもしろさは伝わりません。
気に入った本をヒントに次に読む本を探す
子どもがお気に入りの一冊を見つけたら、本好きになるチャンスです!
読書熱が冷めないうちに、次に夢中になれる一冊を探しましょう。
もし気に入った本がシリーズものだったら、ラッキーです。はしから順に読んでいきましょう。
単発本の場合でも、次の2つの方法で好みの本を見つけられます。
- 同じ著者の他の作品を探す
同じ人の作であれば、テイストが似ていることも多く、気に入る可能性が高いです。
- 気に入った本をオンライン書店で検索して、関連本、よく一緒に買われる本をチェックする
おもしろそうならそのまま購入してみるのもいいですが、我が家では、チェックした本が図書館にあるかを確認して、あれば借りて読んでいます。
子どもの気に入った本を親も読んでみる
子どもにとって自分が好きなものに、親が関心を示すのはとてもうれしいことです。
子どもが気に入った本を見つけたら、親も一度読んでみて、楽しさを共感してください。
そして、「またおもしろい本を見つけたらおしえてね」と伝えて、読書のモチベーションを高めてあげましょう。
実際に子どもが別の本をおしえてくれたら、その本のよいところを聞いてください。
どこがおもしろいのか説明することで、インプットした情報をアウトプットする練習になります。
読書が習慣化したら、能動的読書を目指そう
本を読むことが日常化するにつれて、読んだ本の数も増えていきます。
そのうち、読書中に気づくことや疑問点が出てくるようになってくれば、読書の最終形に入ったと言えるでしょう。
「このまえ読んだ本と、具体例は違うけど、同じようなことを言っているな」
「〇〇って書いてあるけど、昔はどうだったんだろう?」
など、自分の中にある知識と比べてみたり、新たな疑問を見つけたりできるようになると、「もっと知りたい」という知的好奇心が高まって、ますます読書が楽しくなります。
この段階にくると読書とは「書かれている情報をただ受け取る」という受動的なものから、
「一行一行に頭をフル回転させて考える」能動的なものになるのです。
能動的読書ができるようになると、読んだ文字数よりもはるかに多くの学びが得られます。
なぜなら一文をきっかけに、すでにある知識と結び付けたり、新たな考察が生まれたりと、読んでいる本を超えて学習が広がるからです。
能動的な読書の重要性は「東大読書」の著者、西岡壱誠氏をはじめ多くの方が語られています。
能動的読書を身につけるためには、親子で読んだ本の感想を話すことが効果的です。
また、日常の中でも不思議を見つけたり、どうしてか考えてみることも役立ちます。
子どもの読書について、気をつけておきたいこと
読書のメリットをたくさんあげましたが、いろいろ試しても興味がわかない子どもも、当然いると思います。
タイミングが合わなかったり、読書以外にもっと楽しくて夢中になれることがあるなら、それもまた素晴らしいことです。
くれぐれも押し付けないことを忘れないでほしいです。
ずっと読み続けなくても、「読んで楽しかった」という経験があれば、読書という選択肢はずっと残ります。
個人的なことでいうと、私は中学、高校、大学とほぼ読書をしませんでしたが、幼児の頃の読み聞かせと、図書館通いという土台はありました。
そして高校の現代文の先生のおかげで「読む=考える=おもしろい」という、好印象を本に持てたため、大人になって本を楽しめるようになったと思います。
できるならたくさん本を読めた方がいいのは確かです。でもそれが難しくても、
「本っておもしろいな」と、子どもに思わせる。
まずはそこをゴールに、子どもたちと本の橋渡し役になっていただけるとうれしいです。